- 2014-12-22
- バーキンと派生バッグ, エルメスレアバッグ, エルメスのデザイン
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エルメスバッグの装飾の中に、こちらのような繊細で細かいデザインがあることをご存知でしょうか?ギリーズというものですが、どのような物なのか、ご紹介致します。
エルメスのギリーズ(Ghillies)とは?
舞踏シューズ装飾からのアイディア
エルメスのギリーズデザインは、バッグフロントと背面の上下部にゲール・ケルト民族を代表する靴(ギリー)に着想を得た装飾が施してあります。美しいパンチングがバッグを囲んでおり、いつものバーキンとはまた雰囲気が異なってとても素敵です。
バッグの側面、底面、ベルト、ハンドル、クローシュ等には施されていません。
ギリーの名前の由来とデザインの歴史について
名前の由来と用途
古代スコットランド地域のゲール・ケルト文化の古語で「召使・従者」といった言葉に由来している「ギリー」。
昔、アイルランドやスコットランドの人々が農作業をする際に濡れてもすぐに乾かせるように、足と靴紐の間に舌革がついていなかったり(靴紐の間から足の甲が見えます)、通気用の穴が空けられ靴を使用していたそうです。
しっかりとフィットし紐の結びやすさを良くするために甲の紐を通す鳩目周りがくり抜かれ凹凸に波打っていたり、U字になっていたりするという形状の特徴もあります。また、靴紐を全て穴に通したら足首の前、後ろで交差させて結ぶ編み上げスタイルになります。
昔、農作業や狩猟に使われていた際には膝下まで靴紐を巻きあげ、ぬかるみなどにはまっても脱げないようにしていたそうです。
舞踏用と紳士靴へ
現在では伝統的な舞踏用の靴としてギリーはかかせないものとなっています。スコットランドのハイランドダンス(写真下)では男性、女性ともに着用され、とても柔らかく、バレエシューズのようにしなやかな動きができます。
スコットランドの民族舞踏で17世紀頃からダンスの原型があると言われているスコティッシュカントリーダンスでも男性が着用しています。
また、ギリーは1880年代に紳士靴としても取り入れられるようになります。エドワード7世や彼の孫であるウィンザー公(エドワード8世)にも愛用されたことから別名「プリンス・オブ・ウェールズ」と呼ばれることもあります。
特にウィンザー公はゴルフをする際に好んで着用していたそうです。正装用に舌革で靴紐を覆っているデザインもあります。鳩目周りに目を引く特徴的な飾り穴の細かいデザインが施されているので通常の靴よりも重厚な顔立ちです。スコットランドの民族衣装、キルト共に着用されています。
現在の紳士靴にも取り入れられたギリー
装飾的な美しさを楽しめつつ、ビジネスにも利用できる実用的な革靴に!鳩目周りの波型のデザインや、模様などにギリーの特徴を見ることが出来ます。通常の革紐靴に比べると、存在感があり、エレガントな雰囲気がします。
全体にブローグ「●:●:●:●:」と呼ばれる飾り穴がつま先から両側に伸びて施されています。このブローグデザインはもともと通気口として水を抜いていたデザインの名残のようです。
つま先部分がWのデザインで模様が全体的に施されているものを「フルブローグシューズ」と呼び、つま先のみに直線で控えめにデザインされているものを「セミブローグ」と呼ぶそうです。
エルメスのギリーズバッグデザインとサイズ
ケリーのギリーズ
32・35のサイズが確認ができています。28サイズには見られないようです。
バーキンのギリーズ
30、35サイズにて確認されていますが、25の小さめサイズには施されていないようです。
クローシュもとても素敵なギリーズが施されています♪
オーストリッチ素材だと更に模様が映えます
写真下はブルーを基調としたギリーズ。オーストリッチの美しい斑目とギリーズのパンチングの美しさが際立ち、一層濃い顔立ちになります。エレガントで優雅な雰囲気がします。
ギリーズデザインのケリーウォレットもあります
前面・背面に施されていてとても素敵です!