- 2019-8-8
- 映画備忘録
難解な映画と聞いていたので予習して臨んだものの、やはり答えの出ないなぜ?が多く残る140分でした。
主人公が生き別れになった兄を探しながら事件に巻き込まれるミステリー系の映画なのかと思っていたのですが、謎解きがメインではない映画です。そのため、途中色々な場面で、「ん、なぜ?どういうこと?」となることがあります。
大胆不敵にも一人で行動し詮索を止めないイリス・・・。彼女の取る不可解な行動にある意味見ているこちらはひやひやしながら進んでいきます・・・
出演
- ユーリ・ヤカブ(レイター・イリス役)
- ヴラド・イヴァノフ(ブリル・オスカル:帽子店のオーナー)
- スザンネ・ヴェスト
- エヴェリン・ドボシュ(ゼルマ:帽子店のチーフ)
- マルツィン・ツァル(ヤカブ・シャンドル:兄の仲間?)
監督
ネメシュ・ラースロー(監督・脚本)1977年生まれ。ハンガリー・ブダペスト出身。初の長編映画「サウルの息子」(2016)で、第68回カンヌ映画祭グランプリ、第73回ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞、第88回アカデミー賞外国語映画賞を受賞!今作は若き巨匠による注目の長編第二作目!
あらすじ
舞台は第一次世界大戦が始まる前の1913年。オーストリア=ハンガリー帝国が栄華を極めているブダペストが舞台です。主人公のイリスは、2歳の時に両親を亡くし、トリエステにて育ちます。ある日、両親が営んでいた高級帽子店「レイター帽子店」で働くことを夢見てブダペストにやってきます。現オーナーのブリルの反応は歓迎的ではなく、彼女は不採用に。
追い返されたものの、まだ帽子店のまわりを詮索するイリス。彼女はカルマンという兄がいたことを知りますが、彼は伯爵を殺害し問題を起こしているということも聞き出します。なんとか帽子店で手伝いをさせてもらえることになりますが、仕事そっちのけで唯一の肉親である兄を探しに彼女は一人、様々な所へ足を運びます。
帽子店は、オーストリア皇太子や上流階級が訪れるお店ですが、何やら裏ではウィーンの王侯貴族に店の女性を斡旋しているらしき場面をイリスは垣間見ます。
兄と仲間たちによる貴族への暴動が起こり、イリスは兄らしき人を見つけますが・・・
感想
全体的に主人公も自分の置かれた状況を把握できておらず、混乱しているため、その彼女の視点を後ろから眺める構成になっているこちら(観客)としては、もっとよくわからない状況になります。
画面にはほぼ常に主人公イリスの顔が前にあり、彼女ごしに焦点を外した背景がぼんやりとしているので、どこだ?どうやってここに来たんだ?この人誰だ?といった状況にすぐになります。
特に暗闇の中、一人で果敢にどこかのアジトに突撃するシーンも多いので(なぜ抜け出して一人で乗り込むんだ!!!!)同じような服装と顔の人に囲まれて、ここどこ〜?!となること必須です。ご注意を!
第一次世界大戦前のブダペストの市民や貴族の様子なども描かれてはいますが、基本的には高級帽子店の華やかな貴族の集まる場と、街中の平民といった断片的な描かれ方です。
映画のラストは、あなたならどのようにすべてを解釈しますか?と突きつけられるような感じ、モヤモヤが頭に残りました。